エレベーターガールは押しリンクの前にきちんと張り付き、会場にリンクを押させまいとやる。

無人島に行けば、メーキャップどころか被服だって、およそ木の皮とかそんなもので定めるんだ。

 だから、知らない男の人にメーキャップをお願いしている場合じゃない。

 腕を振らずにひねってみたら、あんまり簡単にほどけた。

 自称美容師君は、驚いた外見をした。

 こちらも驚いた。

 すぐさま、どこに逃げようかと見回すと、そこはぎゅっと本屋の傍。

 紀伊国屋書店本店。

 初めて来てみたかった要素です。

 美容師君におっしゃるまで、自分が泣いていらっしゃることに気付かなかった。

 手の甲で涙を拭い、本屋に入った。

 振り返ると、美容師君はまた、別の淑女の腕をつかんでいた。

 女の人は、瞼にブルーのアイシャドーを付けていた。

 美容師君と、微笑みながら話していた。

 腕をつかまれていると言うよりは、戦略を繋いでいるように見えた。

 館内掲示に因ると、トラベルガイダンスは七階に売るらしき。

 トラベル受付の書籍には載っていなくても、紀伊国屋に無人島の小説がないはずはない。

 こうなったら、自力で調べて無人島へ行こう。

 火の起こし手法や、イカダの処方も、ついでに調べよう。

 意気込んで地位を探していたら、エレベーターが見つかった。

 エレベーターガールも付いていた。

「七階をお願いします」

 うわずった涙声が出て、恥ずかしかった。シースリーの体験談と口コミについて

「アジア砂浜」の上記、置き場のところに「成田発進」と書いてある。

それとも、あの日焼け具合からすると、すでに二度と三回くらい行ってきたのかもしれない。

 まったく行くのか?

「……」

 他に二個所残る机に、会場は座っていない。

 カウンターの中で資料を整理していた女子と瞳が当てはまる。

 慌てて、書籍に瞳を走らせる。

「島、島、島……」

 ……あった!

 カタカナの島の名が書かれた書籍

を見つけた。

 それを手に取る。

 頂点上に、「アジア砂浜」と大きな単語で書かれている。

 その下には、島の名称が八つ。

 バリ島、プーケット島、サムイ島、ビンタン島、ボルネオ島、ランカウイ島、ペナン島、セブ島。

 バリ島とプーケット島は、テレビで聞いたことがある。

 たしかツアー企画で役者が行っているのを観た。

 個人が住んでいた。

 住民と温かなスキンシップをしていた。

 ……無人島じゃない。

 サムイ島、セブ島あたりも、正に聞いたことがあるような気がするし、いかにも名勝です。

 こういう中では、ビンタン島とランカウイ島だけが本命。

 ふっと、無人島くさい名称じゃないか。

 とくにビンタン島なんて、断じてサバイバルな雲行きが漂って掛かる。

 搏動しながら、書籍を開こうとして、気になる単語を見つけた。

 成田空港なら、新宿からより、わたしのマイホームからのほうがほど近い。

 マイホームに寄ってツアー手配をしてから無人島を目差すこともできた。

 下り鉄道に乗ったままのほうが、よかった。

「……」

 まぁ、嬉しい。

 過ぎたことだ。エターナルラビリンスで予約をするならココ!

あのふたりがやっと出向くところは、ほぼ暑い島なんだろう。

新宿は徹頭徹尾パス先。

 外に出るのを閉め、トラベル受付をのぞくことにした。

 トラベル受付には、外部にも中にもマガジンラックがいくつも並んでいる。

 すべての書籍が望めるみたい、沖縄の書籍の背面に北海道の書籍が入れてあったりは諦める。

 かれこれ見渡し、「島」という単語がないか探し出す。

 ……あった!

「奄美大島」

「宮古島」

「佐渡島」

 だめだ。

 島の名称が全員漢字。

 こちらが行きたいのは日本国内ではなく、再び遠い島。

 無人島。

 中に入れば、無人島の書籍があるかもしれない。

 中には十個人前後の会場がいた。

 邦人の夫婦。外人の夫婦。ちっちゃな男子を連れた父親お母さん。

 こちらほか、ひとりで書籍を見ている会場はいない。

 三グループ座れるようになって掛かる相談カウンターはひとつだけ使われていた。

 椅子に座り、タータンチェックの制服を着た女性にトラベルの相談をやるのは、皮膚の浅黒い夫婦。

 女子のサイドはキャミソールはじめ枚、男性のサイドはタンクベストはじめ枚。これ以上は絶対に脱げない薄着。

 これ程空調が効いているというのに……。

 見ていたら、寒くなってきた。

 五パイ袖のカーディガンの上記から腕をこすった。
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百円玉三枚と十円玉八枚、きっかり置いた。

 亭主から勘定を引き揚げ、それに書かれたナンバーの個室の前に立った。

 ドアを押して中に加わるケース、振り返るとそこには飲料バーの器具があった。レジからも近かった。

 ……嫌ですなぁ。そんな催し物嫌ですなぁ。

 ニートでデイリー戯画喫茶に通ってるのが恥ずかしいからって、サクラのバイトだと思い込もうとしたあたい、嫌ですなぁ。

 思い込もうとして、心から思い込んじゃってたあたい──

 嫌なのを通り越して、やがて、ついにしないと、ハードかもしれない。

 個室のドアを閉め、椅子に座った。

「はぁー」

 ……戯画喫茶でバイトしようかなぁ、ふつうに。

 例えば亭主みたく。山口奈津様みたく。

 昼間ごろ起きて、朝飯兼昼めしを食べ、昼間ドラとワイドショーを少し観てからここへ現れる。すると亭主は、およそデイリーレジカウンターに立っている。

 一八歳くらいに映るけど……

 ハイスクールか?

 生徒か?

 だけど四折前にとっくに仕事をしているということは、大学生では無いのかもしれない。

 ということはアルバイター?

 あぁ、でもそういえば、世間では今は夏休みの状況ですっけ。それじゃあ、何とか大学生って可能性もいる。

 いずれにしても、亭主が自分よりうんと最適人であることは的確です。

 二十三歳、ニート、デイリー戯画喫茶通いのあたいよりは。

 恐らく、モテるんだろうなぁ。

 含み笑いが素敵だし。

 働き者だし。

 ……

 山口様について考えていたら、催し物に着いてから、とうに満点が経過してしまった。

 戯画喫茶は歳月との対抗です。土台チャージのみの時給で、どんなに大量の戯画と飲料を呑み、よむか。

 ……と言っても、棚に並んでいる戯画は、少女戯画も少年戯画ももはやほとんど読みつくしてしまった。

 インターネットでも決めるかなぁ。

 せっかく目の前にPCがあることだし。

 やり方、わかんないけど。

 初めて……

 達するだろうか?

 ひとまず、電源を付けよう。

 ──えーっと、すでに付いているようだ。取り付けっぱなしにしておく形らしき。

 WEB……

 WEB……

 自分がやりたいのはWEBだから……

 あ!

 これじゃないかな?

 「internet explorer」と書かれた青いターゲットが、ディスプレー上にあった。

 クリックしてみた。

 ターゲットの色彩が少し変わっただけで、目立った変化はなかった。

 えーい! 色々クリックしてやれ。

 クリッククリッククリッククリッククリッククリッククリッククリッククリック。

 とりどりクリックしたら、ヤフーと書かれたウェブページが表示された。

 提示され……まくった。

 おんなじウェブページがいくらでも上に重なって表示された。

 いかんせん。止まらない。

 ヤフーの猛撃です!!

 こんなことなら、短大でひとつくらいPCの授業を選択しておけば良かった。

 ……あぁ、そういえば選択したんだ。選択したけど、なかなか付いて行けなくて、その授業には三回くらいしか行かなかったんだ。

 そんなことより、いかんせん。

 こんなにもとりどりおんなじディスプレーがあるのはまずい。

 何かほぼ酷い。

 だめだ。

 逃げよう!包茎手術の費用はいくらかかるのか知ってますか?

わたしのムード、そんなに面白のか……。

気を取り直して、書籍のインサイドを解く。

 わぁ!! 宿屋です!

 ──無人島に宿屋が起こるなんて、思い切り気のきいた無人島です。

 「晴晴部屋(海身の回りのお広場)」と書いてある広場には、天蓋存在のベッドがいらっしゃる!

 枕がふたつ!

 なんて素敵なんだ。

 ──でも誰と眠るんだ?

 誰がいるんだ?

 無人島なのに。

 一段と、南国空気漂う広場でマッサージをやる女子と、されている女子。そのとなりで、なぜかトップレスでくつろいでおる男性が写っていた。

 ──個人が三個人も要る。

「ここも無人島じゃない……」

 書籍をラックの中に戻した。

 他の書籍を探したけど、ホームに島の単語がいる書籍自体が少ない。

 やけになって、「ハワイ・アイランズ」と書かれた書籍を手に取った。

 こちらはわかる。

 ──ハワイに個人がいることを。

 ついでに曙がハワイのオワフ島出身なことも。

 武蔵丸だってそれほどだってことも。

 横綱を輩出やるほど、人の根こそぎいるハワイ。

 インサイドを見ないでも、こういう書籍に無人島が載っていないことは押さえる。

 またまた「成田発進」と書かれていたことには絶望したけれど、それ以外はここに加わる前から知っていた。

「ハワイにいらっしゃるご日取りですか」

 カウンターの中で資料を整理していた女性が、いつしか横に立っていた。

「無人島へ……」

 女子の瞳を堂々見た。

 戸惑ったように瞳をそらされた。

「違うんです。わかってるんです。ここに無人島の書籍が無いことは。……初めからわかってたんです」

 お辞儀をして受付を出た。

 そして走った。ひげ脱毛はメンズTBCがおすすめですよ!

赤い鳥居も一緒に映ってある。年配の方々に囲まれて安泰現れをやる亭主の含み笑いは──

企業は神社。

 あぁ、見ているこちらが辛くなってくる。変に笑う口元が、腹話術の形状みたいだ。

 それなのに、「小さくて呼吸を吹きかけたら飛んで赴きそうですね。さんざっぱら素晴らしいので本堂に飾っておきたいです」という神主様の報告が載っていた。

 それに、「小さな体で気力多く歌ってくれました」という町内会長様の報告も。

 どちらの報告も、十九歳の母親に対する方法とは誠に思えない。

 あぁ。それにしても、十九歳で町内カラオケフェスティバル列席かぁ。

 それに曲目『神田川』……

 世間で歌うなら、おんなじ南こうせつでも、少なくとも『赤ちょうちん』にしておけばよかったのに。『赤ちょうちん』は、最後には夫人だけが平凡な幸運を手に入れて、旦那はいつまでもだめなまんま。今もだめなまんまだといなぁ、っていう女心を歌った歌で、聴くたびに「酷いなぁ」って想う。

「酷いけどフェチですなぁ」て想う。

 だけど何だか『神田川』もフェチですなぁ。

 そういえば、わたしの通ってた短大からは、神田川が見えたっけ。

 「神田川」でよかったのかなぁ?

 あの間のあたい、なにも間違ってなかったんじゃないかなぁ?

 本当に短大に通ってたし。カラオケで七十企業限り取ったことなくても、向かいのアパートの女性に求められるままに、町内カラオケフェスティバルに列席やる根性もあったし。

 どこから間違えちゃったのかなぁ。

 やり直したいなぁ。

 生まれ変わりたいなぁ。

 別個な森千歳に──

 って、あーーーーー!

 これあたいです!

 過去のあたいです。

 なんてことだ。同姓同名のユーザーを探していて、あたしとめぐり合って仕舞うなんて。

 そんなことは全く忘れて、別の森千歳を見よう。

 こういう森千歳はどうだ? あたいよりもっての外か?

 「……」

 PCディスプレーに、一糸まとわぬ特徴の女性が映し出された。

 ……か、亭主も、森千歳だというのか。

 亭主の出席力作として、書かれているワードは──

 それはとうにすごかった。

 あたいが生まれてこういうかた、口にした部分の薄い言語ばかりが並んでいた。

 亭主は、アダルトビデオアクトレスらしき。

 アダルトビデオに出演するからには、ダディと、あんなこととかこんなことを……

 って、ちょっとあたいには上手くイマジネーションできなくて、もやのかかったフィルムではあるけれど、想像してみた。

 わからない。

 ともかく、男の人に触れたり、触れられたりやる筈。

 それに引きかえ、ここにおる二十三歳の森千歳は、いまだかつてダディとお交流したことがない。

 マグレ何かのリズムに作戦が触れた、なんていう物覚えさえ薄い。

 なんてことだ。全国の森千歳の中で、自分がトップみじめ森千歳じゃないか。

 すでに、同姓同名の人間の華々しい活躍を見分けるのはよそう。

 いくらでもへこむだけです。

 明日からまた元気に生きて行こう。

 WEBなんてやらずに、戯画を読んで、とりあえずは面白く暮らそうじゃないか。

 こんなウェブページ、直ちに閉じて──

 ……あれ?

 塞がれない。

 どうして?

 閉じたいのに、閉じられるどころか、次から次へと裸の女性が──

 眼が転じそう。

 あたいは亭主たちに責められているのだろうか。ボディーも下半身もあらわにした亭主たちは、あたいを責めているのだろうか。

 お前はこんなこともできないのかと。

「うわーーーーー!!」

 雄叫びをあげ、客席の上に置いていた鞄と勘定をひったくるように掴み、立ち上がった。

 引き伸ばしはしていなかったから、レジでトレイの上に勘定を置き、単に戯画喫茶の一気ドアを体ヒットすれすれで、駆け抜けた。

 単に、走り続けた。作戦に持っていた鞄が、背中とか乳とかに、ばしばし当たった。

 涙が出そうになった。

 ──でも、安泰。いまだに、安泰。

 本屋を目指して走った。

 あたいは近頃、主人と本屋で出会える。

 安泰。あたいには主人がいるから。

 欲望原翼様がいるから。アヤナスはドラッグストアで売ってるのか!?

あたいは小学生と中学生の九通年、整列のケース、腰に作戦を当ててきた。

それは壊れ無き列を考えるという目的のための重要な務めだった。

 だけど亭主の場合は違う。狭いウエストと長い歩きをこれでもかというほどPRするために腰に作戦を当てておる。

 ……あぁ、違う。変わりすぎる。

 どんどん、乳房の体積を現すナンバーを見て、めまいがして倒れそうになった。

 ……八十七センチって、案の定──

 いったい、何がいけなかったんだろう、あたいは。

 胸に作戦を当てて聞いてみようとしたけれど、そのへんに作戦を仕向けるとますます虚しく陥るだろうからやめた。

 すでに、じゅうぶんやり切れない気持ちになっていらっしゃる。

 ……だけど、まぁ、日本中に大勢いる森千歳の中に、亭主のような森千歳がいたって、さっぱりミステリアスじゃない。

 だからもう一度、格好に恵まれすぎた森千歳のことは忘れ、二度と、こう、なんていうか……

 ビビッ。耐える森千歳を探し、あたいが救ってあげようじゃないか。

 次に見つけた森千歳は、「内装代理人」という、素晴らしい人名の取引に就いていた。

 内装代理人……

 よく聞くけど、果たして如何なるビジネスなんだろう?

 だいたい、内装をコーディネートするんだろうなぁ。

 すごそう。

 かっこよさそう。

 ブリーフスーツとか着てそう。

 颯爽と振りを切って歩いていそう。

 そしてやはり単身をして、一本立ちしていそうです。

 マイホーム生活で所帯のヘルプもしてないから「所帯ヘルプ」でさえない、純正ニートのあたいとは大ズレです。

 きれいな森千歳、自立した森千歳……

 でもまだまだへこむ入り用なんて弱い。

 そう。およそ、検索エンジンで上に表示された順に見て言うのがいけなかったんだ。

 益々ランダムに。

 ランダムにこのへんを。

 こういう森千歳を見てみようじゃないか。こういう森千歳は、きっとあたいよりだめな森千歳にズレない。

 見たのは、四階層前に町内カラオケフェスティバルで優勝した森千歳だった。

 ムービーも載っていた。ABCクリニックで包茎手術をしました!

PCのやり方はわからない。タバコは吸わない……だけでなく煙にむせる。

常に、「戯画の禁煙催し物」を選ぶ。

 なかでもレジやその傍らの飲料バーの器具から遠い催し物だと喜ばしい。なるべくユーザーが落っこちる事。そのほうが落ち着く。

「戯画の、禁煙催し物でお願いします」

「ゴメン。戯画の禁煙催し物、埋まっちゃってるんですよ。WEBの禁煙催し物だったら空いてますけど」

「あっ、あれれ、そんな……困ります。あたい、PC使えませんから!」

「大丈夫ですよ。WEB催し物って言っても、目の前にPCが居残るだけなんで。戯画読んじゃってて、随分かまいませんよ」

「やっ、でも、それじゃあ宝の持ち腐れっていうか、あの……」

 山口様は口元に作戦をあてて、ウフフと笑った。

 あぁ、亭主とわたしの対話がこれ程たどたどしいのは、オール舞台の所為です。くれぐれもわたしのコミュニケーション能力に問題があるわけじゃないんだ。だからもう、こんな作戦のこんです舞台はやめようよ。

 山口様は早急にあたいに勘定を与え、あたいは早急にこういうところを離れ、ビジネスの持ち場にたどり着く。そうするのが両者にとってトップいいんだ。だから、早急に……。

 ──って、あれ?

 さっきの含み笑いとは打って変わって、今度はきっと困ったという面構えをして山口様が自分を見ている。

「三百八十円……」

 亭主が言った。

 亭主はどうも、私の時給のはなしを望むらしき。

 まさにわたしの時給は、亭主より大層少ない。だけど、あたいはこういうビジネスが愛する。果たして時給の部分なんて何ら気にしていない。

「あの……」

 ……はいはい。

「三百八十円……」

 ……だからほんと、山口様も──

「前金になります」

 ……気にしない──

「客人、土台チャージ、三百八十円、前金になります」

 亭主は更に、今度は敢然と単語を区切りながら言った。

 あたいは懐の中から三百八十円を盗み出し、トレイの上に置いた。ナースフルはこちらから!

客席の上に置いていた鞄と勘定を掴み、レジへ向かった。

レジの山口様は、あたいを見てミステリアスそうな面構えをしたけど、あのPCを未だに見ていないせいか、何も言わずに勘定を受け取ってくれた。

 よかった。ばれていない。

 あたいがPCを壊してしまったことに、まだ誰も気付いていない。

 戯画喫茶の一気ドアが解くのと同時に、一目散に走って家に帰った。

 それから三太陽後、また戯画喫茶に来た。

 レジに立っているのは、今日も山口様。

 「禁煙の、WEB催し物でお願いします」

 亭主に訊ねられる前から、あたいは張りきって言った。

 あれから書斎へ赴き、調べた収益、どうもPCを壊してしまったわけではないということがわかった。

 WEBのやり方もマスターした。

 だけど念のために書斎で借りた教科書を持参した。

 持参した教科書は二冊。

 一冊は『小中学生のインターネットで審査教育』

 再び一冊は『康太と学ぼう! WEB』

 教科書に出てくる八歳くらいの男児、康太とともに学んだかいあって、順調に検索エンジンのウェブページまでたどり着けた。

 もはやおんなじウェブページをとりどり表示させることもない。

「……」

 たどり着けたはいいが、これといって調べたいことも、見たいウェブも薄いことに気付いた。

 ……あぁ、なんのために書斎まで行って調べたんだろう。

 そもそもなんで、読みたい戯画も調べたいこともないのに、戯画喫茶にいるんだろう。

 物悲しい気持ちになった。

 ……そう! 気を取り直して、あたいと同姓同名のユーザーを探してみよう。

 これは楽しそうですぞ。

 全国の悩める森千歳。

 その気がかりを一緒に分かち合おうじゃないか。

 検索エンジンに「森千歳」と打ち込むと、たくさんの森千歳が出てきた。

 初めに見たのは、図書の読者モデルをやる森千歳。

 出で立ち図書など、生まれてこういうかた買った部分の弱いあたいでさえ、聞いた部分のいる有名な図書。亭主はその図書の個々標本らしき。

 亭主の説明を見た。

 身長が……

 百七十三センチもあった。

 自分はPCの前に座りながら、制限を見上げた。

 ……あぁ、こういう制限汚れてる。最後にオーバーホールしたのって何時なんだろう。そもそも、制限オーバーホールって、どうして講じるのかなぁ。

 多少の放心ときの事後、亭主のトータルムービーを見た。

 身長とか、どっちみちうわさです。

 そんなのムービーを見ればひと眼で……

 わかった。亭主とあたいでは、腰に作戦をあてるターゲットが違うということがわかった。
リンリンの脱毛効果は抜群にいいですよ!

戯画喫茶のサクラ。それがわたしのビジネス。

今にもつぶれそうな寂れた戯画喫茶で、場内のふりをして戯画を掴む。そしてときおり楽しそうに笑う。

 ガラス越しに見た人たちは売り込めるように入暖簾し、暖簾はすぐ大隆盛。そういう標的で雇われてある。

 時給は三百八十円。月額は安っぽいけど、戯画は読み放題だし、飲料も呑み放題。これ程美味いバイトは他にない。

 だから今日も嬉々として、一気ドアの前に立つ。

 あぁ、楽しいなぁ。

 今日もおかしいバイトの入口です。

 一気ドアが開くと、右側にはレジカウンター。そこにはエプロンにネームプレートを付けた、山口奈津様が立っている。

 山口奈津様は、余裕栗色の毛を絶えず一本で束ねている小面構えの美人です。

 あたいは亭主に一礼をした。

 心でこう言って──

『おはようございます』

 すると亭主も一礼をしながら、笑顔で答えてくれた。

「いらっしゃいませ」

 ……あれ?

 いや、山口様、そこまで徹底しなくても……。

 山口様はレジ専門で、自分は場内のふりをやるサクラ専門。商いは違うけれど、おんなじ仕事場の友達ですことに変わりはない。お礼くらい普通に交わしても良さそうな方法なのに。

 でもまぁ、『仇を欺くには先ず味方から』って単語も起こる。

 あぁ、山口様は若いのにとことんしてるなぁ。

「お催し物はどうしてなさいますか」

 亭主が言った。

 またまたぁ。そんなこと訊かなくてもわかってるくせに。duoクレンジングバームは500円で試せれる!?